CASE
事例紹介詳細
KB’S WEB Vol.49 2022
コロナ禍の中ファンと売上を増やした秘訣
新型コロナウイルスが発生して3年目。蔓延防止対策や変異株の出現などで人と会えない、話せないという状況が続き、誰もが疲れ気味。そんな今、美容室に求められているのは居心地の良い人間関係。来店したお客様が次も来たいと思える店とは、コミュニケーションが成功しているところ。SNS、コンサルティング、ボランティア活動、フレンドリーな雰囲気づくりと手段にかかわらず要望に真剣に応えようという気持ちがお客様に伝わっているサロンは、コロナ禍でもファンを獲得。ここではコロナ明けにはさらなる成長が期待できる4店を紹介します。
KOMINKA RESORT SALON KURATANI
人里離れたサロンで人の心を開放する
「この家が穏やかなコミュニケーションの場を提供しています。
お客様もスタッフも価値観が一致している人たちが集まってきています。」
姫路駅、新神戸駅から車で約1時間、田畑が広がるのどかな風景の中にKOMINKA RESORT SALON KURATANIは2021年9月に開店しました。オーナーの出井(イズイ)宏樹さんは、築100年以上の出井家の古民家を受け継ぎ、サロンとして改築しました。出井さんにとっては2軒目のサロン。1軒目は2人のスタッフに任せ、自身を含め5人でこの古民家サロンの営業に注力を注いでいます。 「現在は既存のお客様とご紹介です。おしゃれな美容室はたくさんありますが、癒される場所ってあまりないですよね。髪がきれいになると、気持ちが明るくなります。髪を切るだけでなく、染めるだけでなく、心がきれいになれるサロンにしたいんです」と出井さん。 日本の木造建築をそのまま生かしつつ、クリーンで温かみのある雰囲気に改装したサロンには静寂さが漂います。エステ専用の個室も備え、施術後は、日本庭園を眺めてお茶を頂く――お客様は至福の時間を過ごせます。 「できるだけマンツーマンで対応しています。髪の医者のような気持ちになって、メニューを提案し次回の予約を促します。スタッフとは月1回、美味しいものを食べに少し贅沢な店に行きます。上等な接客を受けることは勉強になります。価値観を一致させることが普段の業務に大切です。ミーティングはしませんが、同じ意識を持ったチームなので安心です」 肩に力を入れず穏やかに、お客様ともスタッフとも接しながら、内に情熱を秘めたオーナーの人柄に、古民家サロンの発展を予感させます。
五番街 The Fifth Avenue
スタッフもお客様もなごやかになる「一日一文」
「一流の社会人を育てれば、サロンは発展し、社会に貢献できる。
信頼関係を築き、職場が楽しければ、辞める社員もいません。」
那須塩原のサロン「五番街 The Fifth Avenue」の朝は、オーナーの大倉太喜生さんが長年書きためてきた「一日一文」を、その日のリーダーが読み上げ、自分なりの考えを述べることから始まります。例えば「あなたがここにいるだけでありがたい」という文章も、人によって受け止め方が違う、と大倉さんは言います。「考えを正したり、指導したりすることはありません。大切なのは自分で考えること。そして自分で気づくことで、人間として成長する」と大倉さん。「スタッフ一人一人に一流の美容師になろう、一緒に一流の企業を目指そう、と言い続けています。そのために自分も常に勉強しなくてはいけません」 「一日一文」を始めて10年経ちますが、スタッフの接客は向上し、お客様から頻繁に差し入れをいただくほどに。サロンが地元で親しまれている証拠です。 大倉さんは、40年前、この地で店を開いた時、「仕事をさせてくれるこの町に恩返ししよう」「町作りに貢献しよう」と心に誓いました。その思いを一時も忘れず、実現するために、地元にコミットしてきました。 市の福祉課を通して、一人親家庭や生活困窮世帯の小中学生のヘアカットを無料で提供、サロンにヴァイオリニストを招き「音楽を楽しむ時間」を開催。また送迎車、訪問カット、傾聴ボランティアなど、高齢者向けのサービスも開始しました。こうした日々の地道な活動が口コミで伝わり、集客につながっています。現在100坪の店舗、10人のスタッフ。家族ぐるみの付き合いにも発展する社員も多く、信頼関係を築くことが、健全な経営の秘訣であることを実感するサロンです。
Linda
プロフェショナルと親しみやすさのバランス感覚
「お客様との距離感を重視しています。美容の話は深く、
プライベートな話題は程ほどに。私たちのポリシーです。」
東京・南青山で25年前に開業し、2017年現在の一軒家に移転したというLinda。ヘッドスパのサービス充実のために5年間探し続けた物件は、表参道から徒歩5分程度にもかかわらず、大きな樹木を借景にした青山とは思えない落ち着いた立地。この店を利用するお客様は、開業以来のリピーターとその家族、そして紹介者。クーポン集客サイトなどのサロン予約は使わず、SNSも活用していませんが、集客は安定しています。 「固定客が中心で、3代にわたり利用いただいているご家族もいらっしゃいます。新しいお客様は顧客からのご紹介がほとんどです。次のシーズンのヘアスタイル提案もしていますので、先々の予約をいただくことも多いです。他社のサロン予約システムを利用してもどれだけ固定客になっていただけるのか。それよりもアシスタントのうちから練習モデルさん達に技術を気に入っていただき、生涯サロン、生涯美容師になることが目標です。スタッフによく話すのですが、「美容師はとにかく技術が勝負。常に美容の質を上げる努力をしようと。」とサロンマネージャー宿南梨恵さん。 Lindaにおけるコミュニケーションのポイントは、営業時間中に出せる結果。自分達を“職人”と言い切るだけあり、技術がお客様の信頼を獲得している理由です。さらにお客様との距離感にも注意を払っているといいます。固定客が多いサロンならではの親しみやすさは大切に。その一方で、お客様との会話はプライベートな内容に偏りすぎないよう心掛け、美容の話題を多くすることでプロフェッショナルとしての信頼を築いています。オンラインストア“ライフカルテ”を導入してからは、アシスタントも積極的に商品紹介をできるようになり、お客様とのコミュニケーションの幅も広がりました。自宅でゆっくり納得して商品を購入できるので、お客様にも好評です。
ZEST POOL店
SNSとカウンセリングの丁寧さが再来店を促す
「お客様もスタッフも平均年齢25歳。インスタ、You Tubeなど、
きちんとSNSをしているスタッフは成果が出ています。」
コロナも物ともせず3月に吉祥寺エリアに3店舗目をオープンするという上昇気流に乗っているZEST。PARK店はスタッフの平均年齢が25歳と若く、お客様は同世代が多いそうです。スタッフ各自がインスタ、YouTube、TikTokで、得意のスタイル、技術、自分のファッションなどを公開し、そうしたSNSをチェックしたお客様が、ホットペッパーなどから指名予約を入れるという流れです。集客にDMなどアナログツールを使うことはなく、サロンのインテリアもデジタルネイティブ世代のお客様がなじみやすい雰囲気です。 「SNSをマメにしているスタッフは集客に成功していますが、次も来ていただくために、カウンセリングを重視し、いろいろお話を聞くようにしています。SNSでどのスタイルが目に留まったのか、何が良くて来店してくださったのか、どういう感じが好きなのか、汲み取るようにしています」というのは、新店舗POOL店の店長に決まり、新人教育も担当しているスタイリストの久保田 極(ギア)さん。 「先輩と後輩といっても年齢が近いので、教育というよりもコミュニケーションで良い関係性をつくることが大事だと思っています。お客様との関係も同じで、僕はインスタでつながっていて仲良くなっています。さすがコロナで来店頻度は影響を受けていますが、更新回数が高いほど戻ってきていただけます」 デジタルでは人間関係が希薄になるのではという心配もこの店では無用。お客様には価値観を共有できるスタイリストと話せるのが一つの楽しみかもしれません。
KB'S WEB Vol.49 2022
- ご挨拶 ~2022 statement~
- ご報告
- 2022を占う キーワードは「コミュニケーション」
- コロナ禍の中、ファンと売上を増やした秘訣
- セミナー情報
- プライマリーセッション